【シアンの本棚】里中満智子『マンガ名作オペラ』全8巻
こんにちは。暑さもようやく一段落しましたね…
今回から始まった新企画【シアンの本棚】は、研究者が自分の研究分野に関するものや気になったものなど、色々なおすすめ本をご紹介するコーナーです。私はオペラを研究していますが、実はこのCYAN自体も、オペラと浅からぬ縁が…
そのお話は、またいずれ。
今日のおすすめ本
今日はこちらの本をご紹介します。
里中満智子『マンガ名作オペラ』全8巻
2003~2005年に中央公論新社で描き下ろしの単行本が出版され、2006~2007年には文庫版が出版されています。
イメージ画像:https://www.chuko.co.jp/bunko/2006/12/204793.html
里中満智子さんの漫画の魅力
里中満智子さんの漫画と言えば、特に代表作の持統天皇物語『天上の虹』(1983*)、その続編となる『長屋王残照記』(1991)『女帝の手記-孝謙・称徳天皇物語-』(1992)、またツタンカーメン王の妻の物語『アトンの娘』(1992)などに見られるように、史実の裏側に埋もれた(特に女性の)真実の物語はどのようなものだったのか…ということを考えさせる作品が多く、ほかにも江戸末期から昭和にかけてある家族の四代記を描く『あすなろ坂』(1977)、転生物語の『海のオーロラ』(1978)のように、数々の創作作品においても美麗な画で壮大な物語を紡ぎだしています。
そして、その明快な物語を編み出す力!
同じく中央公論新社から出ている『マンガギリシア神話』(1999)、『マンガ旧約聖書』(2011)、『古事記』(2013)などでは、古典を現代の人にも分かりやすく伝えています(細かい情報はサブページやコラムで詳しく解説しているので、既に内容を大体把握している人も飽きさせません)。
*以後、括弧内初出誌年。出典は里中満智子公式ブログ内の著作リスト(https://blog-imgs-144.fc2.com/s/a/t/satonakamachiko/20210726135436e4d.html)による。
『マンガ名作オペラ』で取り上げられている作品
- 1-2巻《ニーベルングの指環》
- 3巻《椿姫》《アイーダ》《リゴレット》《マクベス》
- 4巻《カルメン》《トリスタンとイゾルデ》《サムソンとデリラ》
- 5巻《トゥーランドット》《蝶々夫人》《ラ・ボエーム》
- 6巻《フィガロの結婚》《魔笛》《ドン・ジョバンニ》《セビリアの理髪師》
- 7巻《サロメ》《ナクソス島のアリアドネ》《こうもり》《ナブッコ》
- 8巻《トスカ》《マノン・レスコー》《ローエングリン》
少なくともタイトルだけは知っている、という方が多い名作から、少しマイナーなものまでカバーしていて、これを読めばオペラを観たくなること間違いなし!また、この漫画は『マンガギリシア物語』『マンガ旧約聖書』とリンクするところが多いので、併せて読むことをお勧めします。
では、また次の機会に…
(M)